霊長類細胞株コレクションの構築

 さまざまなサル類を用いた研究を行なう上で、それぞれの研究に応じたサル種の試料は不可欠です。しかし一般的にはサルの資料入手は容易ではありません。また サル個体を用いることが不可欠な研究において、特にこれまで報告や前例のない新規研究では、どのようなサル種が最適なのか判断に苦慮する場合が見受けられます。こうした状況で非常に重要となるのは細胞レベルでの解析ですが、これまでサル細胞といえばアフリカミドリザル腎臓由来くらいしか入手できず、これではとてもサル種ごとの比較検討など不可能です。私達は、独自の手法によりさまざまなサル種のTリンパ球細胞株(計12種33株)を樹立することに成功しました。このように同一の細胞由来、同一の手法で樹立された、多様なサル種の「霊長類細胞株コレクション」の樹立例は世界的にも例を見ない貴重なものです。全ての細胞株はJCRB細胞バンクから分与を受けることが出来ます。また、一部の細胞株は理化学研究所細胞バンク、英国NIBSC Centre for AIDS Reagents、米国Nonhuman Primate Reagent Resourceからの供与が受けられます。このような試みにより、霊長類医科学研究に関する基盤整備が進展するのみならず、不必要な動物実験を回避する代替法としても非常に有効と考えられます。